OSPF Cost計算方法(加算方法)の基礎が分かっていれば、大規模NWになった場合でも対応できます。
小規模でも、大規模でも設計通りに経路を制御したい場合、デフォルトに頼らず手動でCost値を変更して経路制御を行うことが多いです。
デフォルト OSPF Cost
デフォルトCostは回線の帯域幅により、決定されます。例えば、1GbpsのインターフェイスであればCostは10になります。
帯域幅をコマンドをで変更する事もできます。
帯域 | デフォルトCost | 計算方法 |
10Mbps | 1000 | 10Gbps /10Mbps = 10000 |
100Mbps | 100 | 10Gbps / 100Mbsp = 1000 |
1Gbps | 10 | 10Gbps / 1Gbps = 10 |
10Gbps | 1 | 10Gbps / 10Gbps = 1 |
※Catalyst9000シリーズでは、100Gbpsリンクまで考慮したコスト設定コマンドがあります。
auto-cost reference-bandwidth 100000
OSPF Costの考え方
手動でインターフェイスにCostを設定し、Costがどのように計算されるか確認します。以下のような構成を例にします。
■【Router#1から、PC2のセグメントまでのコスト計算】
Router#1から見て、PC2がいるセグメント(50.1.1.0/24)までのコストは” 45 “
■【Router#3から、PC1のセグメントまでのコスト計算】
Router#3から見て、PC1がいるセグメント(10.1.1.0/24)までのコストは “60 “
OSPFコストの設定
OSPF Costの設定はインターフェイスやVLANに設定します。
Router1(config)#interface Ethernet0/0
Router1(config-if)# ip address xx.xx.xx.xx 255.255.255.0
Router1(config-if)# ip ospf cost 10
—————————————————————-
L3SW1(config)#interface Vlan10
L3SW1(config)#ip address xx.xx.xx.xx 255.255.255.0
L3SW1(config)#ip ospf cost 100
コンフィグ(OSPF部分抜粋)
Router#1
router ospf 1
network 12.1.1.0 255.255.255.255 area 0
network 10.1.1.0 255.255.255.255 area 0
Router#2
router ospf 1
network 12.1.1.0 255.255.255.255 area 0
network 23.1.1.0 255.255.255.255 area 0
Router#3
router ospf 1
network 23.1.1.0 255.255.255.255 area 0
network 50.1.1.0 255.255.255.255 area 0
OSPF Costの確認
show ip ospf interface brief
各インターフェイスに設定したCostを確認します。
IOU1#show ip ospf interface brief
Interface PID Area IP Address/Mask Cost State Nbrs F/C
Et0/1 1 0 12.1.1.1/24 25 DR 1/1
Et0/0 1 0 10.1.1.254/24 10 DR 0/0
Router1 の show ip route
ルーティングテーブル上から、宛先セグメントまでのCostを確認します。 ※”110”はOSPFデフォルトのAD値です
ログから50.1.1.0までのCostは “45”
Router1#show ip route ospf
50.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
O 50.1.1.0 [110/45] via 12.1.1.2, 00:13:25, Ethernet0/1
Router3 の show ip route
ログから10.1.1.0までのCostは “60”
Router3#show ip route ospf
10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
O 10.1.1.0 [110/60] via 23.1.1.2, 00:15:57, Ethernet0/0
Router2 の show ip route
ログからRouter3から10.1.1.0までのCostは “30”
Router3#show ip route ospf
10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
O 10.1.1.0 [110/30] via 12.1.1.1, 00:17:29, Ethernet0/0
ログからRouter3から50.1.1.0までのCostは “20”
50.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
O 50.1.1.0 [110/20] via 23.1.1.3, 00:17:29, Ethernet0/1
まとめ
- どのインターフェイスのCost値が加算されるか理解が必要
- OSPF Costはインターフェイスに設定する
- 設定したら、必ず「show ip ospf interface brie」などで確認する事を推奨
- ほとんどの場合OSPF Cost手動で設定します。デフォルトCostのままで実運用されているケースはあまり見たことがありません。
- 行きと戻りは同一経路になるようCostを調整する事が多い。
- 宛先までの経路で、意図しない等コストになってしまうことを気を付けます。