「Catalyst1000シリーズ」では、「Catalyst2960Lシリーズ」よりファンレス機種やPoEの高出力
のラインナップが増えました。また、機能追加もあるので何がどう増えたのか纏めてみたいと思います。
(記載内容以外に多々ありますが、独自の判断で抜粋した内容になります)
「Catalyst1000シリーズ」用途
- 小規模拠点、居室内、卓上等に設置を想定した小型SW
- 接続端末は、PC、AP、ネットワークカメラ、PoE受電対応IP電話、PoE受電対応SW、サイネージ等々
- スペック的にはCatalyst9200の下位機器
ファンレスとファンあり
居室内や卓上に設置する場合、ファンレスはほぼ必須と考えて良いと思います。
port数 | PoE非対応SW | PoE対応SW |
8ポート | ファンレス | ファンレス |
16ポート | ファンレス | ファンレス |
24ポート | ファンレス | ファン有り |
48ポート | ファン有り | ファン有り |
居室内でもファンが回っていると問題も
「Catalyst2960Lシリーズ」時、居室内の隅に置かれているハーフラックに搭載したL2SWのファン音が「うるさい」とクレームなったことがあり、やもなくそのL2SWを交換した経緯があります。「Catalyst2960Lシリーズ」ラインナップでは、高密度ポート + PoE給電 + ファンレスなかなか難しい状況でしたので、他社製SWに交換。今後このようなクレームを回避でき、機器選定が容易になりそうです。
PoE / PoE+ 給電ポート
PoE給電 ⇒ ほぼフルポート給電できるだけの能力を持っています。
PoE+給電 ⇒ 搭載ポートの半数で給電できるだけの能力になっています。
※給電電力の低いSWもあるので注意
port数 | 給電量(W) | PoE(15.4W) | PoE+(30.0W) | ||
計算 | 給電可能ポート | 計算 | 給電可能ポート | ||
8ポート | 120 | 120/15.4 | 7 | 120/30.0 | 4 |
16ポート | 240 | 240/15.4 | 15 | 240/30.0 | 8 |
24ポート | 370 | 370/15.4 | 24 | 370/30.0 | 12 |
48ポート | 740 | 740/15.4 | 48 | 740/30.0 | 24 |
無停止型PoE
最近のPoESWは無停止型PoEになってきているので地味に助かります。医療系ネットワークなどは24/365でPoESW再起動に伴う、無線AP再起動はお客様に毎回申請が必要だったりするので、この機能も使えます。
Single IP Management
「Catalyst1000シリーズ」特有のStack接続
1IPで最大8台を管理可能
【前提】
最大8台までStack接続できます。StackポートはスイッチのUplinkに限れ、他シリーズ機器ではStackwiseケーブルで接続される所を光ケーブルやメタルケーブルでつなぐことになります。
【下左図は3台構成】
Stack接続した複数SWを1つのIPで管理できる(例192.168.1.1/24)Stackした複数台の1つがMasterスイッチになり、そのMACアドレスがArp解決されるようです。光ポートにGLC-TEを使ってメタル接続も可能です。
【下右図は8台構成】
Cisco推奨のStack接続は以下になります。他シリーズのStack接続と同等であることがわかります。
LANケーブルでスタックを組む利点
既存のStackケーブルの場合、長くても数メートルですがLANケーブルをスタックケーブルにした場合
数十メートル、数百メートル伸ばすことができるので、各階のSWをStackしたり、建物の各棟SWをStackしたりすることも可能です。
(但し、高スペックのSWではないため、想定以上のトラフィックが流れるとボトルネックになる可能性はあります)
MultiChassis EtherChannel (MCEC) 不可
MCECとは以下のような構成を指しています。ダウンリンクにあるSWからそれぞれ1本ずつCatalyst1000に足を出し、EtherChannelを組む構成で、これは不可です。(PAgP,LACP,static)
このような物理構成を組む場合は、Channelを止めSTPを動かす必要がありそうです。
Uplink SFPとSFP+の混在は不可
「Catalyst1000シリーズ」では、Uplinkが「10G」と「1G」がありますが双方で異なる場合はStackが組めない仕様になっています。
Dynamic VLAN対応
新機能追加 ?
「Catalyst2960Lシリーズ」から実装されていたようです。
(Dynamic VLANは「有線接続」に有効で「無線接続」は対象外)
Dynamic VLANのメリット
昨今、フリーアドレス型のオフィスが増えている状況の中、有線接続する場合はDynamic VLANが採用されていないとフリーアドレスが実現しないので、無いと困る機能ですね。
Dynamic VLANの概要
文字通りDynamicにVLANを変えます。インターフェイスに【switchport access vlan xx】を設定するとインターフェイスにくくりつけられるVLAN IDは固定されてしますので、フリーアドレス型のオフィスが成り立たなくなります。そこで、認証サーバを用いてポートVLANを接続デバイスや人によってDynamicに変更します。
例)
Aさんが SW1 Gi0/1接続した場合 ⇒ Gi0/1をVLNA10
Bさんが SW1 Gi0/1接続した場合 ⇒ Gi0/1をVLNA20
デバイスCがSW1 Gi0/1接続した場合 ⇒ Gi0/1をVLNA30
スマートライセンス不要
スマートライセンスはかなり厄介なのでうれしい。できれば全て「Catalyst1000シリーズ」にしてしまいたい
(無理ですが・・・)
まとめ
ファンレス機器のラインナップが増えた
「高密度ポート」 + 「PoE供給電力増加」 ⇒ けれども、ファンレス機器が増えた。
PoE供給電力増加
PoE(15.4W)ほぼフルポートでPoE給電が可能になった。
PoE+(30.0W)はおおよそ搭載ポートの半数で利用可能。
Single IP Management
LANケーブルをStackケーブルにすることにより、遠距離の機器同士のStackが可能。
ただし、制限が多々あり
Dynamic VLAN対応(継続)
居室内、卓上SW想定であるため、Dynamic VLANに対応可能
スマートライセンス不要
煩わしいライセンス処理が無く、導入設置が可能