1つのルータで2種類のダイナミックルーティング(OSPF/EIGRP)を同時に動かすことにより、例として
音声通信ルートはOSPFに載せてルータ1側を通し、データ用通信ルートはEIGRPに載せてルータ2側を通すというような要件を満すことができます。このような制御は、他に色々方法はありますが障害時経路を考慮した場合、比較的複雑な事をしなくても切替え可能です。今回はOSPFとEIGRPを利用しますが、どちらかをBGPに変えても対応可能です。
参考になるケース
特定のサーバ・クライアント間だけは、別経路(別WAN、別ルータ)で通信してほしい。などの要件
があった場合役に立ちます。
今回のNW構成
通信用件
通信要件1
[PC1] ⇔ [PC4]の通信は②ルータを通す経路
通信要件2
[PC2] ⇔ [PC5] と [PC3] ⇔ [PC5] の通信は③ルータを通す経路
方針
主要コンフィグ
ルータ①
ルータ④
ip route 192.168.1.1 255.255.255.255 Null0 250
ルータ④より
ip route 172.16.1.1 255.255.255.255 Null0 250・/32のセグメントでOSPFにより再配布したいために、Static routeを設定しています。
・Static routeの再配布しか使わないため、Next hopはNull 0としています。
・OSPFのAdministrative Distance値(120) を優先するため、ADを 1 -> 250 に変更
ルーティングテーブル確認
ルータ①
show ip route 抜粋
O E2 172.16.1.1/32 [110/20] via 12.1.1.2, 00:22:20, Ethernet0/0
⇒172.16.1.1/32 宛のパケットに関しては、Netxt がルータ②になりました。
D EX 172.16.1.0/24 [170/307456] via 13.1.1.3, 00:21:52, Ethernet0/1
⇒ 172.16.1.0/24 宛のパケットに関しては、Netxt がルータ③になりました。
ロンゲストマッチの法則から、PC4宛はOSPFでルータ②へ向かいます。
ルータ④
show ip route 抜粋
O E2 192.168.1.1/32 [110/20] via 24.1.1.2, 00:24:34, Ethernet0/0
⇒192.168.1.1/32 宛のパケットに関しては、Netxt がルータ②になりました。
D EX 192.168.1.0/24 [170/307456] via 34.1.1.3, 00:24:23, Ethernet0/1
⇒ 172.16.1.0/24 宛のパケットに関しては、Netxt がルータ③になりました。
ロンゲストマッチの法則から、PC1宛はOSPFでルータ②へ向かいます。
まとめ
- 2種類のダイナミックルーティングで経路を分けることができます。
- ロンゲストマッチを利用して、特定宛先/32をOSPFに載せる。それ以外はEIGRPでルーティング
- /32をOSPFに載せるため、スタティックルート設定する(ADは110より大きくする)
- 障害時、片方の経路が使えなくなってもルーティングプロトコルにより自動的に片寄される
- 本コンフィグは、GNS3で再現しているため最低限のコンフィグのみになります。
EIGRP設定概要